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ファイナル・ファンタジーの世界を支える「VEGAS」

このスペシャルインタビューは旧バージョンのVEGAS発売時に行われたものです。

株式会社スクウェア・エニックス

スクウェア・エニックスと言えば世に「ファイナルファンタジー®」や「ドラゴンクエスト®」などの名作を送り出したとして知られる
世界でも最も有名なゲーム開発会社です。デジタルエンターテイメント業界でも常にクリエイティビティとイノベーションを極限にまで追い求め、
世界中の数多くのゲーマーの心に残る作品を生み出してきた会社です。

今回はそんなスクウェア・エニックスのサウンドデザイナーである、祖堅正慶さんが長年SONY製品の愛用者であり、そのSONYのソフトウェア製品が
同社のクリエイティブを支える重要な役割を担っているということを伺って、このスペシャル・インタビューの場を設けさせていただきました。

まずは祖堅さんの経歴についてです:
祖堅正慶さんは株式会社スクウェア(現:株式会社スクウェア・エニックス)に1999年に入社し、サウンドデザイナー&コンポーザーとして
現在まで数多くのゲームタイトルに携わってきました。現在も作曲のみならず音声の編集や録音など、サウンドディレクションから
サウンドエンジニアリングまで、ゲームのオーディオ制作に関わるあらゆる業務に幅広く活躍しています。


SONY 本日はお時間、どうもありがとうございます。まずは祖堅さんが過去に携わったプロジェクトについて
お話いただけませんでしょうか?また現在関わっている作品などもありましたら教えてください。


スクウェア・エニックス

祖堅(以降、M.S.)氏 はい。過去に関わった作品ですと、

  • ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア (サウンドディレクター / エンジニア)
  • 聖剣伝説4 (コンポーザー)
  • ドラッグ オン ドラグーン2 (サウンドエンジニア)
  • マリオバスケ3on3 (コンポーザー)
  • ナナシノゲエムシリーズ (サウンドディレクター / サウンドエンジニア / サウンドデザイナー)
  • Square Enix Music Official Bootleg (コンポーザー)
  • ロード オブ ヴァーミリオン (サウンドエンジニア)
  • ロード オブ アルカナ (サウンドエンジニア / サウンドデザイナー)
  • FRONT MISSION5〜Scars of the War〜 (サウンドエンジニア / サウンドデザイナー)

などです。


SONY SONYのソフトウェア製品は何を使用されていますか?またどのような業務で使用されていますか?

MS 「Sound Forge Pro」は波形の編集や処理など、ボイスの編集・処理など、波形分析だけではなくて社内ツールとの連携やら
色んな場面で利用していますね。 「VEGAS Pro」に関してはカットシーンのマルチチェンネル・サウンドプロダクションや複雑な
サウンドエフェクトを制作する際に使用しています。あと「DVD Architect Pro」はサードパーティ会社へディスクを届ける際に利用していますね。

SONY なぜSONYソフトウェア製品を選ばれたのでしょうか?作業するに当たって特に秀でた点などありますか?

MS それは色々ありますね。まずは早くて軽い。あと、操作が直感的で使い勝手も非常に良いですね。
頭の中で思い描いたものをすぐに形にできます。編集機能も非常に柔軟で、複雑なプロッセシングもすぐに処理できてしまいますし、
高度なバッチコンバータ処理によってプロダクションが非常にスピーディで効率的に進められます。
フォーマットも幅広く対応していて各フォーマットに対して細かいカスタマイズもできるのは良いですし、
あとスクリプト・エンジンを使って社内ツールと連携させられるのはとても便利です。

僕がSound Forgeを使うようになった経緯についてですが、まずは90年代の後半はサウンドデザインというともう圧倒的にMacしか使われてなくて、
その頃はたった5分の曲をノーマライズするのにも1時間近くかかっていました。
あの頃は「ノーマライズ」ボタンを押して、昼休憩に出かけて帰ってきてもまだ終わっていないこともあったくらいでしたね(笑)。
そしてある日、とある新プロジェクトに関わることになった時にふと思ったんです。「他の皆がMacを使ってるのなら自分は
Windowsでもっと良い方法を探してやる!」ってね。

当時のWindows製品で出ているサウンドエディターと言うと「Sound Forge」くらいしかなくて、とにかくMacのサウンドカードを取り外して
Windows PCに突っ込んで、このユニークな(笑)パッケージデザインのSound Forge 4.0をインストールしてみました。
まずはMacの作業環境との差を比較したくて以前1時間以上かかってたファイルを「Sound Forge」でノーマライズをかけてみたんですが…
なんと10分以内に完了しちゃって、もうビックリしましたね。あまりにも早すぎたので本当にノーマライズされたのか不安になりました(笑)。
でも両ファイルを入念に聞き比べて、波形も比べてみましたがまったく差がなくって…今でも思い返すと笑ってしまいますね。
「これで残り50分を使ってゆっくりお茶が飲みに行けるぞー!」って思いました(笑)。


SONY 実際にSONYソフトウェア製品をゲームのプロジェクトで使った例などもあげていただけますか?

MS 会社に着いて仕事する時はまず真っ先に必ず立ち上げている製品なので、もう本当にこれなしだと仕事が始まりませんね。
まず最近のゲームは1つのタイトルでも10万以上のオーディオファイルをダイアログに使うことが多いです。
これだけ大量なファイルがあると一つ一つ手動で編集、処理していくのは現実的ではなくて、逆に「Sound Forge Pro」の自動リージョン、
オートトリム、リージョン抽出、バッチコンバータ機能を使えば手動で処理するよりも早く、より正確に行なえたりします。

「Sound Forge Pro」にはずっと前からこの自動リージョンとバッチコンバータ機能を搭載されていてとにかくボイスを
素早く編集するのには重宝します。「Sound Forge Pro」たった一本でボーカルのノイズを取り除いて、サウンドのクオリティと
コンプレッションを調整して、好きなファイルフォーマットに出力できてしまいます。

カットシーンを制作する際にはよく「VEGAS Pro」を使用しますね。まずは「Sound Forge Pro」で 編集・処理した
オーディオコンテンツをVegasに読み込んで並べていきます。これをカットシーン内の既存オーディオとうまくマッチするように
修正してから仮ミックスを行ないます。

たまに音声をもう少し編集したいな、と思ったときは「Sound Forge Pro」に戻って処理しなおしたり、音を録りなおしたりしますが、
最終的には仮ミックスしたものをファイルとして出力します。SONYのツールは本当に直感的で、思い描いたものが
本当にあっという間にできてしまいます。


スクウェア・エニックス

では次にゲームの実例についてお話しましょうか?
では、『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』の例でも。
まず『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』のゲーム内サウンドエフェクトはすべて「Sound Forge Pro」「VEGAS Pro」を 使って作られています。そして今回このゲームのためには開発チーム内でより効率的に作業ができるように社内にビデオ共有サイトを立ち上げているんですよ。

このビデオ共有サイトは何に使われているかと言いますと、

  • キャラクターのアニメーションの各パーツのモーションをチェック
  • カットシーンの各カメラアングルを確認
  • 文面では説明し辛いダイナミックなバグを実際の動作で説明


そしてサウンドチームもこのビデオ共有サイトを使って作業をしています。

開発スケジュールは常にタイトなので、各リソースに素早くアクセスできることは重要です。このサイトにはサウンドの修正が必要なビデオを
アップして共有しているので、僕の流れとしては:まずはビデオファイルをダウンロードして、「VEGAS Pro」で開いてから
「Sound Forge Pro」で用意したオーディオコンテンツを並べていって、それをミックスしたり、エフェクトを足したり、
ボリュームを調整したりして、最終的にできあがったものを必要なフォーマットに出力していきます。これが作業の大まかな流れですね。

SONYツールのもう一つの良いところはスイートとして連携しているので、例えばオーディオの元素材を少し調整したくなった場合は
「VEGAS Pro」上で調整したいファイルを右クリックして、すぐにそこから「Sound Forge Pro」 で開いて調整できます。
もちろん調整したものはすぐにまた「VEGAS Pro」に反映できるからこれはとても便利ですね。


スクウェア・エニックス

『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』のゲーム内の音声はすべて
5.1チャンネルを使用していて、MMORPGとしては異例とも言えます。
下準備と言い、仮ミックスから最終ミックスの制作まで、サウンドチームは
常に締め切りに追われながら数少ないミックス・スタジオで複数の作業を
同時並行で進めてってる感じですが、僕の場合は「VEGAS Pro」
「Sound Forge Pro」があれば自分のブース内で5.1ch の仮ミックスまでは
できてしまいます。そう考えるとSONYはものすごく効率の良い、ハイクオリティのスタジオをお手頃な価格で使えるというようなもんですね!



もう一つ『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』の音声の特徴としては環境サウンドを多用している
ことです。プレイヤーが音を聞いただけで直感的にどんな環境にいるのかをイメージできるようにしています。
なのでキャラクターが街中や草原を歩いていたり、海辺や森の中にいたり、湖のそばにいたりなど、
どんなシチュエーションであってもそのサウンドや空気の音でどんな環境にいるかが解らなくてはいけません。
またMMORPGなので、天候にも急に晴れから雨になったり、強風が吹いたり、雷が鳴ったり、吹雪や砂嵐に
なったりと、こう言ったさまざまな環境に合わせて環境音も自然にリアルタイムに変化させていかなければなりません。

こう言った環境音を作るためにも実際にロケ(街中、森や海など)に直接足を運んで録音するということも
あります。この際にはノートパソコンで「Sound Forge Pro」を立ち上げて、サラウンド用のマイクを立てて
マルチチャンネル録音した音声をスペクトラム・アナライザで各周波数帯域の平均値を取ったります。
その後、録った元のマルチチャンネル・オーディオファイルを「Sound Forge Pro」上で適当なレンジに
コンバートします。

これらのファイルや各ロケで録音されたマルチチャンネルファイルが(より自然に聞こえるようにSound Forge ProとVEGAS Proで編集され)、実際にゲーム内の環境音として鳴っているのです。
こう言った環境音や細かな空気の音をゲームに盛り込むことによって、プレイヤーはビジュアル面だけでは
なく、聴覚的にも刺激され、よりリアルな空間でゲームを楽しめると思います。
そしてSONYの「Sound Forge Pro」「VEGAS Pro」はこれらを作り上げるためにはなくてはならない存在だと僕は思っています。

スクウェア・エニックス

SONY 祖堅さん、とても興味深いお話をお聞かせいただきましてどうもありがとうございました。
最後に読者の方々へ一言いただけませんでしょうか?

MS SONYのソフトウェア製品は僕の頭の中でイメージしたサウンドを具体化するツールとしてはなくてはならない存在です。
インスピレーションや閃きというものはほんの一瞬なので、このようにアイデアを瞬時に形へして編集・仕上げられるということは
とても重要で、SONY製品はこれらを可能にしてくれます。「Sound Forge Pro」で過去に作ったプロジェクトを開いて、
最後のに保存したポイントよりもさらに前にまでアンドゥーができるとは、もはやタイムマシンです(笑)。

あとはたまに「こんなことができたら便利だな」や「こんな機能があったらな」と思うこともあるんですが、
大抵の場合はコンテキストメニューやCtrl・Altショートカットなどですでに実装されていることが多いですね(笑)。
同僚からもよく「祖堅さんって仕事が早いですね!」と褒められることがあるんですが、本当はSONYツールが
早くしてくれているからなんですよ(笑)。おかげさまで余った時間をより有効に使ったり、新たなインスピレーションを
探しに出かけたり、次なる音や作品作りに繋がっていると思います。